波よ私を連れて行かないで

「波よ私を連れて行かないで」

サーフボードに乗ったの

海が大好きな向かいのおじいさんが

もうすぐ死んでしまいそうなんだって

親切な近所のおばさんがささやいた

そして次の日　彼は家から出てきて

私に言ったの

「サーフィンを教えてあげる」

って。

それで今海に来てる

サーフィンするのは生まれて初めて

悪くない　風も波も　私にはまだよそよそしい

ボードはぐらぐら　浮遊力はずっと知らんぷり

おじさんも知らんぷり　あれっ？

にこにこして　ただ私が海に落ちるのを眺めてる

ずっと乗れるまで　練習するよ

だって　生まれて初めての波乗り

こんなはずじゃなかったけど　

でもいいの　

浮き輪の子供達に　ねぇあのお姉ちゃんまた落ちたよって

5秒乗れたねって　日焼けのお兄さん

なんかかっこいいねお姉さんって　お父さん

手を振る　あちらでやってるベテラン波乗り姉さん

ねぇ　わたし何回落ちてるの　100回くらい

乗れたとき、わたしも海も恋に落ちた

私、海と結婚して、波と一体　波は生きてる

私分かった　(波は私を連れて行くよ)

近くの神社から　お祭りの笛の音が鳴ってる

そうしたら危ないからって　ついに私波乗り禁止されたの　夢中を止めてどうするっていうの？

早く行きたいな　どうしたらいける？

また波乗りに。